******  糖尿病と神経障害  ******
● なぜ神経障害が起こるのか?

1.神経とは、もともと、いわば電気信号を伝える電線のような性質を持っています。ところが、高血糖が続くと、あたかもその電線がさびついたかのように、情報が神経を伝わるのに、時間がかかったり、情報が正しく伝わらなくなったりするのです。

2.高血糖のために細小血管の壁に変性が起き、血流が悪くなると、神経細胞に必要な栄養が行き渡らなくなり、神経障害を起こす一因となります。

● 様々な神経障害

1.もっとも起こりやすい末梢神経障害

 ■神経の仕組み

人間の神経は脳や脊髄からなる中枢神経、手足に張り巡らされた末梢神経、暑さ寒さを感じる知覚神経、内臓の働きや発汗などを調節する自律神経などがあり、それぞれ大切な役割を担っています。
上記の神経の中でも中枢神経は糖尿病ではあまりおかされる事はなく、もっとも起こりやすく患者さんを悩ますのが、末梢神経障害です。

 ■末梢神経障害の特徴

特に神経のもっとも末梢の部分である足のしびれや痛みなどの知覚障害が多く、これは足先に、ジンジンした感じ、チクチクした感じ、あるいはピリピリ、ビリビリと電気が走るような感じが生じます。
また、痛みなどに対する感覚が鈍くなったり、なくなってしまう場合もあります。
一般にこれらの症状は夜間や安静時の方が激しくなり、左右対称性に、つまり両足に、ほぼ期を同じくしてあらわれます。
糖尿病罹病期間が長ければ長いほど、血糖コントロールが悪ければ悪いほど症状は強くあらわれます。

2.全身に多様な症状を引き起こす自律神経障害
自律神経は、心臓や胃、膀胱、血管などの働きを微妙に調節している神経です。
これらに障害が起きるわけですから、体の全ての臓器に異常が生じるわけで、症状は様々です。

 ■自律神経障害の症状
  <立ちくらみ>
  <狭心症のいたみがなくなる>
  <胃のもたれ>
  <下痢・便秘>
  <インポテンツ>  <汗の異常(汗をかく、または汗をかかない)>
  <膀胱障害(出にくい)>

 これらの症状は、患者さん自身、初めのうちは気づかない事が多いのですが、重症になると大変やっかいな事になります。

 ★「立ちくらみ」に注意
朝起床するとき、急に血圧が下がって脳貧血のような状態になり、めまいや立ちくらみを起こすことがあります。
これは「起立性立ちくらみ」といわれるもので、訴えの多い障害です。
立ちくらみを防止するためには、寝床から一気に起きあがらず、いったん座り直して一呼吸おいてから立ち上がるようにします。
立ちくらみは、低血糖の症状と間違えやすいので、注意しなくてはなりません。

 ★壊疽(えそ)に注意
高血糖によって末梢神経に障害が起こるため、足の感覚がマヒして痛みなどを感じにくくなります。
これが壊疽(えそ)のきっかけになるけがや傷などに気づくのを遅らせ、壊疽をどんどん進行させてしまいます。
予防には
1・裸足で歩くことを避け
   2・靴ずれに注意
   3・靴下はこまめにとりかえ
   4・火傷しないように注意します。

  ● 神経障害を起こさない為には?

 ・ 何よりもまず血糖をきちんとコントロールすることです。
 ・ 定期的な検査が必要です。
 ・ 何らかの症状が出たときには、その症状が神経障害によるものかどうか別の病気が原因なのかどうかをチェックします。
● 神経障害が出たら?

 ・ 低血糖、高血糖になりやすいので、血糖の厳格なコントロールを
 ・ 長風呂は避ける
 ・ 足をこまめにチェックして、壊疽に注意する
 ・ 味覚障害を起こしていると、味付けの濃いものを求めがちになるので要注意
 ・ タバコは血流障害を助長します。できれば禁煙を

◎血糖値が改善されはじめた頃に痛みを感じることがあります。
それは神経障害のために痛みを感じなくなっていたのが、血糖値の改善により神経の働きがよくなるために、それまで感じなかった痛みを感じるようになるのです。
ですから自覚症状や自己判断に頼らず医師に相談したり治療を継続することが大切です。