****** 加齢と共に進行する糖尿病 ******
加齢とともに臓器機能や体力の低下、病気が進行、発症したりするのは当たり前のこと。
糖尿病も例外ではありません。加齢は先月号でもお話ししたとおり、糖尿病誘因の一つです。
統計で見ますと、加齢とともに糖尿病の頻度は増加し、60歳をこえると男性でも、女性でも糖尿病の頻度は15%程度となります。
すなわち、6人の高齢者のうち1人は糖尿病なのです。
現在、日本では約690万人の糖尿病患者が存在し、そのうち53%、365万人は60歳以上と推定されています。
■■ 加齢と共に進行する糖尿病 ■■
1.インスリン分泌量の不足
すい臓機能の低下などからインスリンの分泌量が不足します。
2.インスリン抵抗性の出現
一般に加齢そのものや、加齢に伴い筋肉が減少するとともに相対的な脂肪の増加をみます。
脂肪組織がインスリンの効き目を悪くします。
すなわちインスリン抵抗性は加齢現象のひとつと考えられています。
それに加え、恒例になると運動量も減ってきますので、ますますインスリンの効き目が悪くなり糖尿病の危険が高くなります。
3.加齢に伴う歯周病と糖尿病の相互の関係
加齢とともに歯周病にかかりやすくなります。
これは、加齢によって口の中の組織も弱くなること、細菌などの動きが弱まらず感染症にかかりやすくなることなどが原因であると考えられています。
細菌に感染した状態(虫歯や歯周病のある状態)では、インスリンに対する体の反応が悪くなり、血糖値が高くなりやすくなります。
■■ 高齢糖尿病患者あれこれ ■■
1.低血糖に気をつけよう
高齢者や腎臓の働きが低下している患者さんでは、時間が経っても飲み薬が排泄されにくく、蓄積しやすくなります。
このため、飲み薬が予想以上に長く強い作用を示すことがあります。
また、低血糖症状が非典型的であったり、自覚症状が乏しかったりすることが多く、さらに、いわゆる痴呆症状を呈するこ
ともあり、低血糖を見落とさないことが大切です。
2.血糖値が高くても高齢者の場合は尿糖が出にくいので血糖測定は採血を
ふつう空腹時血糖値が170mg/dlくらいに上がると、腎臓から尿に糖がもれてきます。
血液から尿に糖がもれてくる時に血糖の値を「尿糖排泄閾値(にょうとうはいせついきち)」と言いますが、この値は年齢によっても差があります。
老齢者は、血糖値が高くても尿糖が出にくい傾向があります。
正しく血糖値を測るためにはやはり採血がいいですね。
3.糖尿病の人は骨折しやすい
糖尿病患者の骨折頻度は糖尿病でない人の2~4倍といわれています。
それには、インスリン作用の不足も含め、色々な原因が関係しています。
特に若い人ならすぐ治るような場合でも、高齢者では治るまでに時間がかかり、その間からだを動かせないことで、ますます骨や筋肉が弱ってしまい、ついには寝たきりの生活になってしまうこともあります。
実際に骨折は、脳卒中などとともに、寝たきりになる主要原因の一角を占めています。
4.糖尿病合併症に注意
糖尿病特有のいわゆる三大合併症が認められますが、高齢糖尿病患者はそれ以外に、動脈硬化症、高血圧症、免疫低下による感染症の併発も問題になります。
特に高齢者では動脈硬化や脳梗塞をしばしば引き起こし、場合によっては生命に危険が及ぶことがあります。
★高齢であっても、よいコントロールの維持に努めれば、合併症の進展を確実に防げるだけでなく、気分も快適になって生活しやすくなるなど、精神的にも良い効果があることがわかっています。
高齢者だからとあきらめずに、まだたくさんある可能性に向かって積極的に挑戦し、納得のいく人生にしていきたいものですね。