合併症が発症する仕組み

成人の失明原因のトップは糖尿病

糖尿病の進行は非常に緩やかなので、多少糖尿気味だといわれても放置する人が多いようです。そして気がついた時には様々な合併症を発症していて後悔するのです。

成人になってから失明する原因の第1位は糖尿病です。

視覚障害による「身障者手帳」交付を受けた人の内、糖尿病性網膜症によるものが2,986人(18.3%)にのぼりました。

糖尿病と目に何の因果関係があるのかと、不思議に思われるかもしれません。

糖尿病になると血液内の糖分が異常に増えた状態が続きます。

ですから細い血管がまずダメージを受けることになります。糖尿病は血管の病気とも言えるのです。

目の毛細血管に悪影響を・・

目の奥にある網膜はカメラのフイルムにあたる部分です。

網膜は光の強さや色を感じ取り、その情報を脳に送ります。

網膜にはたくさんの毛細血管が張り巡らされており、毛細血管が至るところでコブのようにふくれあがります。

この段階では視力低下を自覚することはほとんどありませんが、網膜症がすすむと網膜の毛細血管がふさがってしまいます。血管がふさがると網膜が酸素不足になります。

それを解消しようと新しい血管がつくられますが、この新しい血管はもろく出血を起こしやすいのです。

糖尿病の3大合併症の中で最も深刻なのが、目に起こる網膜症です。

なぜかというと、網膜症は失明の原因になるからです。

成人してからの失明原因の第1位は、この糖尿病性網膜症です。

糖尿病とわかって6年以上たつと、50%以上の患者さんに網膜症が起こってくるとさえいわれています。

網膜症自覚症状があると一大事?

1.網膜症

網膜症とは、カメラのフィルムの役目をする網膜が痛んでしまった結果起こります。

網膜は、光や色を感じ、それを脳に伝える役割をもっていますが、そこには細かい血管(細小血管)が無数に張り巡らさせています。

糖尿病では、血液が高血糖のため糖分を多く含み粘性が強いため、この細小血管をつまらせたり、血管壁に負担をかけ細小血管症を起こします。

そのため、網膜の酸素や栄養が不足してしまい、眼底出血や硝子体出血などの症状を示す網膜症が起こります。

2.白内障

糖尿病による白内障は、体内に糖分が増えるため、カメラのレンズにあたる水晶体に糖分が蓄積され、白く濁ってくるものです。

一般に白内障のほとんどが老人性白内障ですが、糖尿病のある場合は早めに白内障がでてきます。

多くは水晶体を取り出して、プラスチック製の眼内レンズを入れることでよくなりますが、重症の場合にはこの手術さえできなくなります。

3.血管新生緑内障

網膜症の末期的段階に、ときに発病する血管新生緑内障は、糖尿病網膜症が原因となった場合、一般にいう緑内障とは違ったプロセスで発病します。

糖尿病網膜症が重症になると、虹彩というカメラの絞りにあたる役割をする部分に、新生血管という正常では存在しない血管ができます。

虹彩の周囲は、眼の中を潤すよう常に水が流れる構造になっているのですが、この新生血管のために水の出口である隅角がつまってしまいます。

このため、眼の中の圧力(眼圧)が高くなり、視神経が圧迫されて視力が低下し、ついには失明してしまいます。

網膜症の進行段階

段 階 自覚症状 治療法
単純性網膜症 細小血管がつまってコブができることがあり、眼底検査をすると点状の出血が見られる。 全くなし 血糖コントロールを適切に行うことによって、自然に消えていく場合がある
前増殖性網膜症 さらに進行すると、網膜の血管が詰まって血液が流れない場所が出来てくる。それを補うために、新生血管を作り出す準備を始め、静脈が腫れ上がったり、異常な形の血管が見られるようになる。 ほとんどないが、黄斑部に浮腫が起こると、著しい視力低下 血糖コントロールの改善とともにレーザー光凝固を行う
増殖性網膜症 網膜は酸素不足の状態になり、その酸素不足を補うために、もろくて破れやすい新生血管が出来てくる。やがてこれが硝子体に入り込んで、ここで衝撃を受けたり血圧が急に上がると、もろい血管が破れて眼底出血、あるいは硝子体出血などと呼ばれる大出血を起こしてしまう。 視力の低下網膜剥離失明することなどがある レーザー光凝固術を行うこともあるが、硝子体出血や網膜剥離の状態には硝子体手術が行われる

レーザー光凝固とは
一定の部分の網膜の細胞を焼いて、新生血管を予防したり、できてしまった新生血管を焼き潰す治療法。

このように糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が見られない病気です。
自覚症状が出るころはすでに3段階まで進行していることになります。

日常生活でできる予防法は?

1.何よりも血糖コントロールが大事!

最近では、レーザー光凝固装置の改良が進み、硝子体手術も発達したため、不幸にして高度の視力障害になってしまった眼にも、有効な治療が可能になってきました。しかしながら、糖尿病の場合、網膜症を起こさないことが大切です。そのためには、糖尿病治療の基礎となる食事療法、運動療法に真剣に取り組み、血糖値のコントロールを良好に管理することが第一です。

2.定期的な検査を

糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が見られない病気です。
糖尿病とわかったら直ちに眼科で診てもらうことが最も重要です。眼底検査をすると、網膜症になる前でも、網膜の血液の流れ方に少しでも異常があればわかります。
一般に、糖尿病を患っている期間が長いほど、網膜症を合併する可能性も高くなるといわれます。

糖尿病と診断されたら、視力に変化がなくても、眼に異常を感じなくても、1年に一度くらいは眼科で診てもらいましょう。

大出血を起こせば失明につながります。

大出血までいかなくても出血を繰り返せば網膜剥離を起こして失明する場合もあります。

血糖コントロールをしっかり行わないと6~10年で約半数の糖尿病患者が網膜症にかかると言われています。

網膜症以外にも糖尿病による目の障害としては白内障や緑内障があります。

失明にまで至ってしまうともう二度と光は見られません。

統計によると日本では1,000人の糖尿病患者のうち3人(0.3%)が失明していることになります。

この数字、多いと見ますか?少ないと見ますか?

糖尿病性腎症は死の危険

網膜症は糖尿病患者から光を奪います。

失明は不幸なこととはいえ、直接命に関わる病気ではありません。

しかし糖尿病性腎症は死の危険を伴う怖い合併症です。糖尿病発症後10年以上経つと腎臓に障害が起こりやすくなります。

発症後20年以内に「依存型」患者の40%が腎不全を起こします。

「非依存型」はそれより割合が低くなりますが、決して侮れない数字です。

現在日本で腎不全のため新たに人工透析を受け始める人の30%は糖尿病患者です。

糖尿病の合併症 -動脈硬化について-

合併症を発症させないために

医薬品の副作用で肝臓病になるなど、病院の薬や対応にも大きな問題があります。

糖尿病の研究をしている研究会のセミナーで聞いた話です。

もともとインシュリンの出が悪いのが糖尿病ですが、もっとインシュリンを出すようにする薬があります。

この薬は、インシュリンを出したくても出せずに苦しんでいる人の体を、更に強いる薬です。

この薬を飲み続けていると結局、最後には疲れ果てて一滴のインシュリンも絞り出せなくなってしまいます。

治療のための薬であるはずなのに、本当に恐ろしい話ですね。

実際に医療に携わっている医者の中にも、現在の糖尿病の治療に疑問を持っている人が大勢いらっしゃいます。

何故なら大勢の糖尿病患者が通院し、治療を受けているにも関わらず合併症に苦しみ病気の進行を食い止めることが難しいという事実があるからです。

食事に気をつけるのも、運動を心がけるのも、薬を飲むのも、血糖値を下げるのも全て「合併症を防ぐ」ためです。

血糖値を下げることは大切ですが、糖尿病治療の最大の目的は合併症を防ぐことです。

糖尿病でも合併症で苦しむことがなければいいわけです。

大勢の人たちの話を聞くと、血糖値や長期血糖の話が多く出ます。それは、今のところ、血糖値を下げる以外に合併症を防ぐ道が他にはないのです。

足からはじまる合併症

糖尿病には、神経障害という合併症があります。

末梢神経に障害が起こることで、発汗作用をつかさどる自律神経も障害を起こすため、暑くても汗が出ない症状となります。

またその反対に暑くないのに汗が出ることもあるようです。

痛みはとくに眠りにつく時に感じるようですが、これは末梢神経障害の「冷え」から一歩進んだ症状です。

例えば、指を輪ゴムできつく縛ってみてください。

最初は指先が冷たくなりますが、そのうちに痺れが始まり、ピリピリと痛みが生じます。
この状態を長時間放置しておくと、やがて指先は腐って落ちてしまいます。

いわゆる「壊疽(エソ)」と言われる症状です。

糖尿病の末梢神経障害も同様の格好で進行します。

最初は冷え、ついで痺れて、そして痛みが始まります。

痛み、やがて眠れないほどに強く激しいものになります。

その後に訪れるのが足のエソ状態で、「エソが進行したために足を切断した」という話をみなさんも聞いたことがあるはずです。

合併症は足からはじまります。

糖尿病の発病と同時に、常に合併症の怖さがつきまとう生活が始まってしまいます。

本当に恐ろしいですね。

血行不良になると健康な人に比較すると驚くほどに強く冷えを感じるようになります。

そのために、夜、ふとんに入っても足が冷たくてなかなか眠れません。

私はよく夫の足をさすってあげました。私と同じことをしていらっしゃる方も世の中には多いことと思います。

①母親が糖尿病で死亡、そして本人も糖尿病に

母親が糖尿病で亡くなり、自らも発病したという女性の話をご紹介しましょう。

彼女は自分も母親のように糖尿病になるのではと恐れていましたが、体質遺伝から、やはり発病してしまいました。

現在、発病から二十年余りが経ちましたが、その間ずっと病院に通い、今では一日二回、インシュリン注射を行っています。

私が彼女にお会いしたのは夏の盛りのとても暑い日でしたが、その時彼女は私に〝自分は暑い日でも汗をかいたことがない〟と言いました。

みなさん、もうお分かりでしょう。

糖尿病は血管の病気とも言われるように、糖尿病を発病すると血管に異常が始まります。

その異常とは「細い血管から詰まり始め、症状は徐々に太い血管へ進む」というものです。

ですから、動脈硬化の進行が健康な人よりも早く、その結果、血流が悪くなり、新陳代謝が衰えます。
彼女は「暑い日に汗が出ないのは辛い」と話していましたが、疲れやすく、長い時間歩くことができません。

彼女の場合、一番の苦痛は足の痛みでした。

針を刺されるような痛みが両足全体にあるそうです。

これでは思うように外出も出来ません。

②痛みに苦しむ老人と看護でクタクタの婦人

足の痛みで苦しむご主人を、奥さんが眠らないで介護をして、ずっと足をさすってあげるそうですが、つい眠気に負けた奥さんがウトウトすると、ご主人は奥さんを蹴るそうです。

こんなことが毎晩繰り返されていると思うだけで私は胸がキリキリと痛みます。

ある日、その老夫婦のお宅を訪ねたことがあります。

北風の吹く寒い季節の訪問でしたが、部屋に案内されて驚きました。

老人の両手両足は分厚い手袋と足袋で覆われています。

その上、手袋と足袋の中には携帯用のカイロが入っていました。

随分と酷い冷えを感じているようでした。

私が、「そうすると少しは楽ですか?」そう尋ねると、「いや、いくら暖めても駄目だ。とくに夜は辛い。痛みで眠れない」と老人は嘆きました。

老人は二十一年前に糖尿病だと分かったそうですが、病気になった後も生活習慣を改めようとせず、医者から「気をつけるように」と何度も注意をされたそうですが、やはり気にもとめなかったようです。

その結果が今の状態だと悔んでいましたが、まさに「後の祭り」となってしまったのです。

痛みで眠れない夜は「神経ブロックの注射」をするそうですが、それも今ではあまり効果がないようです。こうなると、まるで苦しみと闘うだけの日々です。

合併症が進行すると気力も体力も奪われ、何をすることもできません。

ただ、悪くなるのをじっと待つだけです。

この病が本人だけでなく、家族も大変に辛い病気であることを、つくづく思い知らされます。

③糖尿病の治療薬で肝臓を悪くした知人

糖尿病の薬には食物の消化を緩やかにしたり、消化を妨げて血糖が上がるのを防ぐ薬があります。

たぶん、みなさんの中にはその薬を飲まれている人がおられると思われますし、私の夫も医者に勧められたことがあります。

医者は「この薬は副作用で肝臓を悪くすることがある。

そのために肝機能の検査をしながらでなければ服用できませんよ」と言いました。

その言葉で主人はその薬を飲むことを中止しました。自分で違う方法で血糖値を下げようと努力しました。

しかし、私の友人は薬の副作用で肝臓を悪くした結果入院することになりました。

病状は相当にひどく、処方しつづけた医者の無責任さに無性に腹立たしさを感じました。

友人は糖尿病よりも肝臓の病気で苦しんでいるわけですから、やはり残念でなりません。

こうなる前に薬を変えたり、インシュリンにするなどの方法があったはずです。

彼は治療で悩み副作用で困る日々が続いていました。

このように、本人に合わない薬を処方されるケースが、糖尿病には多々あります。

自分自身に何が合っているのか、よくよく考えていく必要があると強く感じます。

④眼底出血で糖尿病が見つかった友人

「眼底出血」によって糖尿病が見つかった友人がいます。

以前から足が痺れたり、疲れやすかったり、身体がだるい日々が続いていたそうですが、糖尿病のことを知らない友人は、そんな赤信号に気づきませんでした。

「このくらいは何でもない…」と、たかを括っていました。

眼底出血を起こし手術をしてからは、夜の車の運転ができなくなった上に、昼間の仕事にも無理がきかなくなり、とうとう仕事を辞めてしまいました。

その後、療養を続けて9.9だった長期血糖値を8カ月かけて4.9にまで下げることに成功しましたが、それでも合併症の進行は抑えることはできませんでした。

友人はもともと血圧が高かったのですが、さらに高くなり、人工透析をしなければいけない状態になりました。

合併症がある段階まで進むと止めることは非常に難しくなります。これが糖尿病の怖さです。

⑤病気の母親のために

この方もまた、糖尿病の恐ろしさを再認識する例です。

合併症が進行し、失明寸前になっている彼女のお母さんは、目の手術を何度も繰り返していますが、それにも関わらず今はほとんど見えなくなっているそうです。

外出も難しく、毎日家の中で過ごしており、夜は足が痛んで眠れないようです。

娘さんをはじめ、ご家族みんながお母さんを心配されていますが、糖尿病もここまで悪化するとどうすることもできません。

ひどい合併症を引き起こす前に、少しでもその進行を遅らせることが必要です。

⑥親戚のおじさんに起こったこと

おじさんの口癖は、「俺の糖尿病はたいしたことない」。

糖尿病の自覚も低かったため、食事制限もあまりしていませんでした。

それどころか、無謀にも串焼きを40本も食べたことがあったようです。

顔色も良く元気そうで、不自由なく毎日暮らしていました。

ところが、ある日の朝、起きると目が見えなくなっていましたのです。

それは突然やってきました。

目が見えなくからは家の中の暮らしが始まり、外出することもなくなり、当然運動量もできなくなり、とうとう三年後には他界しました。

自分は健康だと思っていた人が、突然に目に障害が起こると、気力が失せ、生きることすら難しくなるのです。

糖尿病が原因の失明は、多くの場合は病院で治療を受けていない人が経験しています。

眼科に通院していれば失明をすることはないと言われています。

糖尿病は、目の他に腎臓と神経が侵されます。

これを糖尿病の三大合併症と言います。

重い合併症が目と腎臓と神経にどうして起こるのか、その原因が解明されてきています。

目と腎臓、神経には「アルドース還元酵素」という酵素が他の部分より多く分泌されているそうです。

重い合併症は、この酵素が多くあるところに起こることが医学の進歩の結果、分かってきました。

逆に、アルドース還元酵素の働きを抑えれば、合併症を防ぎやすいことも分かってきました。

因果関係を明らかにすることで、その対策もできるようになってくるのです。

⑦とうとう合併症の症状が

気の緩みから再び飲酒、長期血糖値はアッという間に上昇を

合併症は全身に起こります。

糖尿病は血管の病気ですが、血管は全身にまで行きわたっているので、合併症はじわじわと身体のあちらこちらを侵し、生命までも危うくさせる危険性を持っています。

合併症は糖尿病を発病すると数年以内には、自覚がなくても身体のどこかの神経を侵し始めます。

夫は糖尿病宣告から、合併症が恐ろしく嫌な食事制限を始め、お酒の制限などをしたことで、しばらくの間は血糖値も6パーセント台を維持し、お医者様にも良好だと言われる状態が続いていました。また、本人の自覚により、気をつけ始めたことの影響が大きかったです。

お医者様から処方された薬も飲んでいませんでした。しかし、知らぬ間にストレスが溜まっていたのでしょう。

夫は我慢していたお酒に再び手を出してしまいました。

飲んだらよくないと思いつつ、ふとした気の緩みから、少しぐらいならとお酒に手を出してしまいました。

お酒の種類によってはという方もいますが、問題はカロリーですから、何を飲んでも飲み過ぎれば全く同じことです。

お酒のダメなところは、徐々にその飲む量が増えて行くことにあります。

お酒を飲み始めた後は、すぐに量も増え、ビールを中心に毎日1.5リットルぐらい飲むようになりました。

すると落ち着いていた長期血糖は7パーセント台になり、すぐに8パーセント台へと、アッという間に上昇してしまいました。

再びお酒に手を伸ばしてから、いつかはそのときが来るのではないかと怯えて暮らしていましたが、とうとうその日がやってきたのです。

⑧合併症の現実

それは突然やってきました。

就寝のために入った布団の中で、夫は自分の足先が冷たいことに気づきました。

「とうとう来たか…。」

氷を飲み込むような何とも言えない不快感をその時に覚えたと夫は言います。

いつか合併症の症状が出るのではないかという不安は常に頭の片隅にありましたが、それはやはり大きなショックだったようです。

悔やんでも悔やみきれない気持ちだったのでしょう。とても落ち込んだ様子でした。

足が冷えるのは典型的な合併症の始まりです。

血の巡りが悪くなるために、足の爪先が冷たくなります。

糖尿病は血管の病気といわれるように、全身の血管が詰まり始めます。

神経にも栄養が行かなくなり、神経にも異常をきたすことがあります。

悪化すると生爪をはがしても痛みを感じなくなります。靴底のビンのかけらを踏み付けたままで長時間歩き続けて大出血したという話を聞いたこともあります。

合併症の恐ろしさに怯えていたにも関わらず、また飲み始めたお酒によって、合併症に襲われた夫は、飲酒を止める以外に道はないと覚悟を決めました。

動脈硬化について

動脈硬化の原因は、高血糖のほかに、高血圧や高脂血症などがありますが、糖尿病の人はこれらの病気を併発することが多く、動脈硬化がより進行しやすくなっています。

動脈硬化は、糖尿病のもう一つの合併症です。この動脈硬化が原因となって脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすことになります。

脳梗塞を起こす約半数の人に、また心筋梗塞の人約3分の1に糖尿病があるといわれています。

糖尿病にかかると主に、網膜症や神経障害、腎症などいわゆる三大合併症というものが心配されますが、糖尿病にかかるとそれ以外にもいろいろな病気にかかることが少なくありません。

動脈硬化

動脈硬化の原因は、高血糖のほかに、高血圧や高脂血症などがありますが、糖尿病の人はこれらの病気を併発することが多く、動脈硬化がより進行しやすくなっています。

動脈硬化は、糖尿病のもう一つの合併症です。

この動脈硬化が原因となって脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすことになります。

脳梗塞を起こす約半数の人に、また心筋梗塞の人約3分の1に糖尿病があるといわれています。

骨と関節に起こる合併症

糖尿病の治療をしないでいたり、不適切な治療を長く続けていたりしますと、骨や関節にも合併症が起こります。

すなわち、骨や関節の病気に糖尿病が、いわば追い風の役割を果たして悪い影響を及ぼしているのです。

糖尿病に合併する骨や関節の病気は、骨自体のカルシウムが減少して、薄くもろくなる「骨減少症」、手の関節が動きにくくなる「バネ指」、痛みもなく骨折を起こす「シャルコー関節」などがあげられます。

糖尿病の人にかかりやすい感染症

糖尿病の人は、肺炎や膀胱炎、腎盂炎(じんうえん)、皮膚炎、歯肉炎、あるいは風邪といった、感染症にかかりやすいことが知られています。

これは血糖コントロールの悪化によって身体の免疫系の機能が低下し、最近やウィルスが身体に入ってしまうためです。

また、感染症が急速に重症化することも多く、回復には時間がかかります。

そして感染症にかかると血糖値が普段以上に上昇するので、コントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響が出てきます。

血圧も要チェック

高血圧の患者数は国内で300万人といわれ、まさに国民病と言えます。

同じように糖尿病も、予備軍を含めると1,400万人に上る病気です。

そして、糖尿病の人は血圧が高くなりやすく、40~60%が高血圧を併せ持っています。

糖尿病も高血圧も、どちらも症状のないまま進行し、さまざまな合併症を引き起こします。

直接死につながる可能性があり、日本人の死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などの怖い病気も、糖尿病や高血圧が相互に影響しあって動脈硬化が進行した結果、発症します。

また、高血圧により、糖尿病性腎症が急速に進んでしまいます。

糖尿病と併発しやすい高尿酸血症

血液中の「尿酸値」が高い状態を高尿酸血症といいます。

高尿酸血症は、遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質があり、それにさまざまな生活慣習が加わることで発病します。

尿酸値があがりやすい生活慣習とは、過食やアルコールの飲み過ぎ、運動不足、それによる肥満、精神的ストレスなどです。

これらは糖尿病を招く習慣と、ほぼ同じような内容です。

事実、糖尿病の人は尿酸値が高い人が多く、また、高尿酸血症の人は糖尿病になりやすいのです。

自覚症状は全くありませんが、治療せずにいると、痛風発作が起きたり、さまざまな合併症が発症・進行します。

高尿酸血症は糖尿病と同じで、放置していた場合の合併症が怖い病気だということです。

主 な合併症に、腎臓障害、尿路結石、動脈硬化などがあります。

糖尿病との関係では、特に動脈硬化が問題となります。

足の末梢神経障害とは

足の抹消神経障害については、様々な人から色々な症状の話を聞きました。

例えば女性の方で、「素足でいるのに、まるでストッキングを履いているようだ」とか、「ジンジンする」とか、「足の中に虫がいるようだ」という症状です。

また、痛みの話も色々と耳にします。痛みは夜になると強くなり、とくに安静時に痛みが増してくるようです。

そのために眠りたいのに眠れないという辛い夜を過ごさなければなりません。

自律神経障害とは

自律神経障害はそれを患っている本人にとって非常に辛く悲しいものです。

一番辛いのは「便意や尿意を感じないために失禁してしまう」ことです。

大人がこの障害のために職場で失禁したという、胸が痛くなるような話を聞いたことがあります。

また、胃腸や心臓の働きが悪くなるという症状が現れる場合もあります。

合併症を発症させないために

医薬品の副作用で肝臓病になるなど、病院の薬や対応にも大きな問題があります。

糖尿病の研究をしている研究会のセミナーで聞いた話です。

もともとインシュリンの出が悪いのが糖尿病ですが、もっとインシュリンを出すようにする薬があります。

この薬は、インシュリンを出したくても出せずに苦しんでいる人の体を、更に強いる薬です。

この薬を飲み続けていると結局、最後には疲れ果てて一滴のインシュリンも絞り出せなくなってしまいます。

治療のための薬であるはずなのに、本当に恐ろしい話ですね。

実際に医療に携わっている医者の中にも、現在の糖尿病の治療に疑問を持っている人が大勢いらっしゃいます。

何故なら大勢の糖尿病患者が通院し、治療を受けているにも関わらず合併症に苦しみ病気の進行を食い止めることが難しいという事実があるからです。

食事に気をつけるのも、運動を心がけるのも、薬を飲むのも、血糖値を下げるのも全て「合併症を防ぐ」ためです。

血糖値を下げることは大切ですが、糖尿病治療の最大の目的は合併症を防ぐことです。

糖尿病でも合併症で苦しむことがなければいいわけです。

大勢の人たちの話を聞くと、血糖値や長期血糖の話が多く出ます。それは、今のところ、血糖値を下げる以外に合併症を防ぐ道が他にはないのです。

生活習慣を見直しましょう

1.食事療法の改善をしましょう ~

食品交換表を利用し、指示エネルギーを守った上で、高血圧や高脂血症の方は特に、塩分や脂肪分の摂りすぎに注意しましょう。

2.からだを動かしましょう ~

運動は糖尿病の治療に欠かせません。同時に血圧を下げ、血行を良くし、ストレス解消に効果があり、そして何より肥満を防止して、動脈硬化の危険因子の多くを改善する、とても重要な意味があります。

3.喫煙やアルコールをできるだけ抑えましょう ~

喫煙は血管を収縮させて高血圧を起こしたり、血管の壁を傷つけて動脈硬化を招く、重大な危険因子です。飲酒は適量なら高血圧や動脈硬化によいといわれています。

しかし、糖尿病や高脂血症には悪いので、糖尿病の人が動脈硬化防止のためにお酒を飲むというのは間違っています。

4.精神的ストレスをため込まないようにしましょう ~

日常生活の中で感じるストレスも血圧や血糖を上げる要因となりますので、なにかしらストレスを発散する方法を見つけるようにしましょう。

これらの病気にはそれぞれ共通点がありますので、危険因子をひとつずつ減らしていけば病気を防ぐことができます。

逆に何かひとつでも病気があればそこからいろいろな病気を併発することを忘れないようにしましょう。